インプラント周囲炎
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「抜くしかない」と言われたインプラント、本当に残せない?判断の基準を歯周病専門医が解説
「インプラント周囲炎がひどいので、抜くしかありません」。
そう言われても、すぐには決められませんよね。本当にほかに方法はないのか、迷うのは当然です。
先に結論
インプラントが動いていなければ、残せる可能性があります。
ただ、無理に残すと骨が減り、次の治療が難しくなることも。
「残す」か「抜く」かは、CTを見て1本ずつ決めるのが大切です。
この記事で分かること
✓ 「抜くしかない」と言われる理由
✓ 残せるかを決める3つのポイント
✓ 残す治療の効果と限界
✓ セカンドオピニオンで聞くべきこと
1. なぜ「抜くしかない」と言われるの?
理由は、大きく分けて2つです。
インプラントの状態による理由
・インプラントが動いている
・骨が大きく失われている
・治療しても再発をくり返している
・本体が割れている、位置や向きに問題がある
医院の事情による理由
・インプラント周囲炎の外科治療を行っていない
・そのため、選択肢として「撤去」しか示されない
後者の場合は、別の医院では残す治療を提案されることもあります。だからこそ、判断の理由を確認することが大切です。
2. 残せるかどうかは、この3つで決まる
❶インプラントが動いていないか
本体が動くなら、骨との結合が失われています。この場合は残せません。
動いているのが被せ物やネジだけなら、話は別です(「ぐらぐらする原因」)。
❷骨がどれだけ残っているか
インプラントの長さに対して、骨がどこまで残っているかをCTで確かめます。残っている骨が多いほど、残せる見込みは高くなります。
❸骨の溶け方の形
すり鉢状に溶けていれば、骨を補う治療(再生療法)が効きやすい形です。平らに溶けている場合は、骨の回復は期待しにくくなります。
骨の溶け方の違いを、図にするとこうなります。

3. 残す治療は、どこまで効くの?
主な治療は、歯ぐきを開いてインプラントの表面をきれいにする外科治療です。骨の形によっては、骨を補う治療を組み合わせます。
◯ 期待できること
多くの場合、炎症が落ち着き、インプラントを使い続けられたと報告されています。
△ 限界
すべての人で治まるわけではなく、再発することもあります。治療後のメインテナンスが欠かせません。
当院の症例でも、外科治療で膿は止まったものの、深いポケットが残った例があります(この症例を見る)。くわしくは「インプラント周囲炎は治る?治らない?」で解説しています。
4. 撤去したほうがいいのは、どんなとき?
撤去は「負け」ではありません。早めに抜くことで骨を守り、次の選択肢を広げられることもあります。
✓ インプラントが動いている
✓ 骨が大きく失われ、残しても再発しやすい
✓ 炎症が、隣の歯や骨にまで広がりそう
✓ 人工関節や心臓の手術の前に、感染源を確実に取り除きたい
当院では、専用の器具でインプラントを逆回転させて外し、骨をなるべく削らずに撤去します(「撤去の方法と器具」)。症状がないまま進み、撤去を選んだ症例もあります(この症例を見る)。
5. セカンドオピニオンで聞くべき3つのこと
① 骨はどこまで残っている?
X線写真やCTを見せてもらいましょう。前の医院の画像があればお持ちください。
② なぜ残せないの?
上の3つのポイントのどれに当てはまるのかを聞くと、納得しやすくなります。
③ 抜いたあとはどうする?
骨を増やす方法、新しいインプラント・ブリッジ・入れ歯の選択肢と費用まで確認しておくと安心です。
当院では、「抜くしかない」と言われたインプラントのご相談を院長相談(60分・パノラマ/CT撮影と説明)でお受けしています。残す場合と抜く場合、それぞれの見込み・リスク・費用をご説明します。その場で決めていただく必要はありません。ほかの医院で入れたインプラントについては「他院で入れたインプラントの相談先」もご覧ください。
6. よくある質問
Q. 痛みも腫れもないのに「抜くしかない」と言われました。
A. インプラント周囲炎は痛みなく進むことが多く、症状がなくても骨が大きく失われていることがあります。画像で確かめてからご説明します。
Q. 抜いたら、もうインプラントは入れられない?
A. 骨の量や、前回うまくいかなかった原因を確かめて判断します。骨が足りなければ、骨を増やしてから入れ直すことがあります(費用はこちら)。
Q. 残す治療がうまくいかなかったら?
A. 改めて状態を確かめ、再治療か撤去かを判断します。残す治療を選ぶ前に、うまくいかなかった場合の見通しもお伝えします。
まとめ
・動いていなければ、残せる可能性がある
・無理に残すより、抜いたほうが骨を守れることもある
・まずはCTで骨を見て、理由に納得してから決めましょう
当院での費用とご相談
ほかの医院で入れたインプラントのご相談も承っています。日本歯周病学会 歯周病専門医の院長が、パノラマ・CTを撮影したうえで「残せるのか、撤去が必要か、費用はいくらか」をご説明します。その場で治療を決めていただく必要はありません。
(税込44,000円)
(税込253,000円)
(税込121,000円)
(税込297,000円)
いずれも自由診療です。外科治療・撤去には、術後の腫れ・痛み、歯ぐきが下がる、骨が期待どおりに回復しない、周囲炎が再発するなどのリスクがあります。治療期間・回数は状態により異なり、相談時にご説明します。
費用の全体像(保険と自費の境目、撤去してやり直す場合の総額など)は「インプラント周囲炎の治療費はいくら?」にまとめています。
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執筆・監修:福嶋歯科医院 院長 福嶋太郎(日本歯周病学会 歯周病専門医)
東京都多摩市で、歯周病とインプラント周囲炎の治療に取り組んでいます。インプラントの撤去・周囲炎の外科治療・再生療法まで院内で行い、ほかの医院で入れたインプラントのご相談も承っています。所属:日本歯周病学会、日本口腔インプラント学会、AAP(アメリカ歯周病学会)、AO(Academy of Osseointegration)
参考文献
- Herrera D, Berglundh T, Schwarz F, et al. Prevention and treatment of peri-implant diseases—The EFP S3 level clinical practice guideline. J Clin Periodontol. 2023;50 Suppl 26:4-76.
- Carcuac O, Derks J, Abrahamsson I, Wennström JL, Petzold M, Berglundh T. Surgical treatment of peri-implantitis: 3-year results from a randomized controlled clinical trial. J Clin Periodontol. 2017;44(12):1294-1303.
- Berglundh T, Armitage G, Araujo MG, et al. Peri-implant diseases and conditions: Consensus report of workgroup 4 of the 2017 World Workshop on the Classification of Periodontal and Peri-Implant Diseases and Conditions. J Clin Periodontol. 2018;45 Suppl 20:S286-S291.
