TEL042-389-0281インプラント周囲炎でお悩みの方は
当院の歯周病専門医へご相談ください

セカンド
オピニオン予約

インプラント周囲炎治療なら多摩市永山の歯医者「福嶋歯科医院」|インプラントを撤去(除去)する方法と器具|骨をなるべく残す「逆回転」での撤去を歯周病専門医が解説

インプラントを撤去(除去)する方法と器具|骨をなるべく残す「逆回転」での撤去を歯周病専門医が解説

インプラント周囲炎が進んで骨がほとんど失われたときや、インプラントが割れてしまったときには、インプラントを撤去(除去)しなければならないことがあります。

「骨にくっついたインプラントを、どうやって外すの?」「外したあとの骨はどうなるの?」と不安に思う方も多いでしょう。この記事では、インプラントを撤去する主な方法と使う器具、それぞれの特徴を、論文のデータも交えて歯周病専門医が解説します。当院での実際の撤去の様子も動画でご覧いただけます。

目次

  1. インプラントの撤去が必要になるのはどんなとき?
  2. インプラントを撤去する5つの方法
  3. 論文で見る、それぞれの方法の特徴
  4. 当院で使用している撤去用の器具
  5. 動画:実際のインプラント撤去の様子
  6. 撤去したあとはどうなる?
  7. 費用・期間・リスク
  8. まとめ

1. インプラントの撤去が必要になるのはどんなとき?

インプラントは、骨としっかり結合する(オッセオインテグレーション)ことで噛む力を支えています。ふつうは一生使っていただくことを目指す治療ですが、次のような場合には撤去を検討します。

  • 重度のインプラント周囲炎:骨の吸収がインプラントの先端近くまで進み、ぐらつきがある、治療をしても炎症が治まらない
  • インプラントの破損:インプラント本体が割れた・ねじ山が壊れた
  • 位置や角度の問題:埋入された位置が悪く、被せ物の形が清掃しにくい・見た目に問題がある

インプラントの撤去についての論文をまとめた研究(Roy 2020)でも、撤去の理由として最も多かったのはインプラント周囲炎でした。

インプラント周囲炎は、骨が残っているうちなら外科治療などでインプラントを残せる可能性があります。「すぐに撤去」ではなく、まずは残せるかどうかを検査で見極めることが大切です。治療で残せる可能性については「インプラント周囲炎は治る?治らない?」で詳しく解説しています。

2. インプラントを撤去する5つの方法

骨と結合したインプラントの撤去方法は、大きく分けて次の5つが報告されています。

方法 どうやって外すか 周りの骨
逆回転(リバーストルク) インプラントに専用の器具を取り付け、締めるのとは逆の方向に力をかけて、骨との結合を外す 基本的に削らない
トレフィンバー 筒状のドリルで、インプラントの周りの骨ごとくり抜く インプラントの周りを一回り削る
バー(ドリル) 細いドリルでインプラントと骨の境目を削り、器具で揺らして外す 境目の骨を削る
ピエゾ(超音波) 超音波の振動で、インプラントと骨の境目を細く切る 境目の骨を削る
レーザー レーザーで境目の骨を処理する 境目の骨を処理する(報告はごく少数)

この中で考え方が大きく違うのが、「回して外す」逆回転と、「周りを削って外す」それ以外の方法です。

インプラントの撤去方法の模式図。上は逆回転で外す方法で周りの骨が残る。下はトレフィンバーで周りの骨ごとくり抜く方法

逆回転で外す方法(上)と、トレフィンバーで外す方法(下)の違い(模式図)

トレフィンバーなどで周りの骨を削ると、インプラントが入っていた穴はもとのインプラントより一回り大きくなります。インプラント周囲炎ではすでに骨が失われていることが多いため、撤去でさらに骨が減ると、次のインプラントを入れるための骨づくり(骨造成)が大がかりになったり、すぐには新しいインプラントを入れられなくなったりします。

3. 論文で見る、それぞれの方法の特徴

撤去方法をまとめた系統的レビュー(Roy 2020)

18本の論文(インプラント372本・患者さん241名)をまとめた研究では、それぞれの方法で撤去できた割合が次のように報告されています。

方法 インプラントの本数 撤去できた割合
逆回転 284本 87.7%
バー(ドリル) 49本 100%
トレフィンバー 35本 94%
ピエゾ(超音波) 11本 100%
レーザー 1本 100%

出典:Roy M, et al. Clin Oral Investig. 2020;24(1):47-60.

数字だけを見ると、逆回転は「撤去できた割合」がやや低くなっています。逆回転だけでは外れない場合があるためです。それでもこの研究の著者は、逆回転が最も骨を残せる方法であり、撤去の第一選択とすべきと結論づけています。外れなかった場合には、そこから削る方法に切り替えればよいからです。

合併症としては、トレフィンバーでの撤去で上顎洞(上あごの奥の空洞)の底に穴が開いた例、逆回転の力でインプラントが割れた例(3本)が報告されています。

逆回転用の撤去キットの報告(Anitua 2012)

逆回転で撤去するための専用キットを使い、42名の患者さんから91本のインプラントを撤去した報告があります。撤去に必要だった力は80〜200N・cmでした。それより強い力が必要な場合は、トレフィンバーで2〜3mmだけ浅く切れ込みを入れて、外れやすくしてから逆回転をかけています。

つまり、逆回転と削る方法は「どちらか一方」ではなく、まず逆回転を試み、必要な分だけ削るという組み合わせで使われています。

撤去後にすぐ新しいインプラントを入れられるか

撤去方法を比較した別の研究(Stajčić 2016、81名・95本)では、逆回転用の器具を使う方法が、同じ場所に新しいインプラントを入れるうえで最も予知性が高い(結果を見通しやすい)と評価されています。一方、トレフィンバーなど骨を大きく削る方法のあとは、特に下あごでは、撤去と同時に新しいインプラントを入れることは勧められないとする報告もあります(Tafuri 2023)。

ただし、これらの研究の多くは症例報告や後ろ向きの研究で、方法同士を厳密に比べたランダム化比較試験はまだありません。結果は目安としてお考えください。

4. 当院で使用している撤去用の器具

当院では、インプラントの撤去にBTI社(スペイン)のインプラントエクストラクターを使用しています。

  • インプラントの接続部分(内側・外側)の形に合わせた撤去用のパーツを取り付けます
  • 専用のレンチで、締めるときとは逆の方向に力をかけ、インプラントと骨の結合を外します
  • インプラントの周りの骨を削らずに撤去できる場合があります

ただし、すべてのインプラントがこの方法だけで外せるわけではありません。インプラントの種類や接続部分の状態、骨との結合の強さによっては、必要な範囲で周りの骨を削る方法を組み合わせます。どの方法になるかは、事前のレントゲン・CT検査や、インプラントの種類の確認をもとにご説明します。

ほかの医院で入れたインプラントの場合は、メーカーや種類が分かると準備がスムーズです。インプラントのカードや治療の記録をお持ちであれば、ご持参ください。

5. 動画:実際のインプラント撤去の様子

約10年前にほかの医院で入れたインプラントが、自覚症状のないままインプラント周囲炎で進行し、撤去を選んだ症例です(70代男性・右下の奥歯)。インプラントエクストラクターで逆回転をかけて撤去しています。

この症例の検査結果や、治療ではなく撤去を選んだ理由は「【症例】自覚症状のないまま進行したインプラント周囲炎|埋入10年後に抜去を選んだ理由」で詳しく紹介しています。

6. 撤去したあとはどうなる?

撤去は治療の終わりではなく、次の治療に進むための第一歩です。撤去後の選択肢には次のようなものがあります。

  • 骨の回復を待って、骨造成(GBR)と新しいインプラント:インプラント周囲炎で骨が大きく失われている場合の一般的な流れです
  • 撤去と同時に新しいインプラント:骨が十分に残っていて、感染がコントロールできる場合に限られます
  • ブリッジや入れ歯:インプラント以外の方法を選ぶこともできます

新しいインプラントを入れる場合は、なぜ前のインプラントがうまくいかなかったのかを見直すことが欠かせません。歯周病、清掃しにくい被せ物の形、インプラントの位置、残ったセメントなど、原因を取り除かないまま入れ直すと、同じことが起こりかねません。インプラント周囲炎の原因については「インプラント周囲炎の原因とは?なりやすい人の特徴」で解説しています。

7. 費用・期間・リスク

インプラントの撤去(自由診療)
費用 121,000円(税込)/1本
※骨造成(GBR)や新しいインプラントの費用は別途かかります。
期間 撤去の処置は1日。術後1週間ほどで経過を確認します。
主なリスク・副作用 処置後の腫れ・痛み・出血。逆回転で外れない場合は骨を削る方法を併用するため、骨の欠損が大きくなることがあります。撤去の際にインプラントが割れる、上あごでは上顎洞に穴が開く、下あごでは神経の近くで処置が必要になるなどの可能性があります。撤去後に新しいインプラントを入れる場合は、骨造成が必要になることがあります。

8. まとめ

  • インプラントの撤去が必要になる理由で最も多いのは、重度のインプラント周囲炎
  • 撤去方法には、逆回転・トレフィンバー・バー・ピエゾ・レーザーがある
  • 論文では、骨を残せる逆回転を第一選択とし、外れない場合に削る方法を組み合わせる考え方が示されている
  • 撤去後に新しいインプラントを入れるなら、骨をどれだけ残せるかと、前回うまくいかなかった原因の見直しが大切

「撤去と言われたが、本当に残せないのか知りたい」「撤去したあとの治療について相談したい」という方は、セカンドオピニオンもお気軽にご利用ください。ほかの医院で入れたインプラントのご相談も承っています。

参考文献

  1. Roy M, Loutan L, Garavaglia G, Hashim D. Removal of osseointegrated dental implants: a systematic review of explantation techniques. Clin Oral Investig. 2020;24(1):47-60.
  2. Anitua E, Orive G. A new approach for atraumatic implant explantation and immediate implant installation. Oral Surg Oral Med Oral Pathol Oral Radiol. 2012;113(3):e19-25.
  3. Stajčić Z, Stojčev Stajčić LJ, Kalanović M, Đinić A, Divekar N, Rodić M. Removal of dental implants: review of five different techniques. Int J Oral Maxillofac Surg. 2016;45(5):641-648.
  4. Tafuri G, Santilli M, Manciocchi E, et al. A systematic review on removal of osseointegrated implants: un update. BMC Oral Health. 2023;23:756.