インプラント周囲炎の
再発を防ぐために
インプラント周囲炎は、口腔内の清潔な状態を維持できていればかからない病気です。そのため、再発を防ぐには毎日のセルフケアと歯科医院での定期的なチェックやメインテナンスが重要となります。
また、インプラント周囲炎のリスク因子である喫煙をやめることや全身疾患のコントロール、生活習慣全体の見直しなども大切です。インプラントを長く使い続けるためにも、しっかり再発防止していきましょう。
患者様ご自身による
メインテナンス
ブラッシング
天然歯と同じように、インプラントにも汚れが付着します。毎日の丁寧なブラッシングは、インプラント周囲炎の再発を防ぐ最も重要なセルフメインテナンスです。
デンタルフロスや
歯間ブラシの使用
歯と歯の間は歯ブラシの毛先が入りにくいため、ブラッシングだけでは隙間にこびりついたプラークを落としきることはできません。インプラント周囲炎の再発を予防するには、デンタルフロスや歯間ブラシなどを用いて、しっかりバイオフィルムを落とすことが大切です。
洗口液でのうがい
洗口液の使用もインプラント周囲炎の再発予防に効果的です。洗口液によりインプラント体周囲の殺菌ができるわけではありませんが、お口の中に浮遊しているバクテリアを殺菌することでお口の中全体の菌数を減らすことができます。殺菌効果のある洗口液をブラッシング後の仕上げに使用したり、洗口液を含みながらブラッシングをすれば、インプラント周囲炎はもちろん虫歯・歯周病予防にもつながります。
ただし、洗口液はあくまでもブラッシングの効果を補うものです。ブラッシングは怠らずにしっかり行いましょう。
歯医者での専門的な
メインテナンス
歯医者でのメインテナンスは、3ヶ月に1回が目安です。口腔内の中の細菌は100日ほどかけて増殖していくためです。ただし、インプラント治療やインプラント周囲炎治療をした直後や、口腔内の状態が良くない場合は1ヶ月ごとに通院して頂くこともあります。「インプラントを長く快適に使いたい」という理由で、症状が安定していても毎月のメインテナンスをご希望される患者様も多くいらっしゃいます。
PMTC
歯科医師や歯科衛生士などのプロが特殊な器具を用いて行う歯のクリーニングです。セルフケアでは落としきれないプラークや歯石を徹底的に除去します。また、歯面を磨いて滑らかな状態にすることで、汚れの再付着を防ぎ、虫歯・歯周病を予防します。軽度の着色汚れの除去や口臭予防にも効果的な処置です。
定期的な口腔内のチェック
インプラント体や周囲の汚れの付き具合、歯茎の腫れや出血の有無などをチェックします。定期的にチェックすることで、口腔内環境の変化を知ることができ、病変の早期発見もできます。
ディプラーキング
ディプラーキングとは、インプラント周囲溝内にあるバイオフィルムを破壊し除去する処置のことです。エアフローという機器を用いて、インプラント周囲溝内の柔らかいプラークを取り去ります。痛みがなく、患者様に負担の少ない処置です。また体内で分解される成分を使用するので、術後パウダーがインプラント体に付着したままでも問題ありません。
形態修正・
リカントゥアリング
何らかの原因により、被せ物の形が汚れの溜まりやすい形状になっている場合に行います。他院で治療したインプラントなど、清掃性に問題があると判断できる場合、被せ物を取り外して清掃しやすいように形態を修正します。
咬合チェック・調整
奥歯は縦方向の力には強いものの、歯ぎしりなどによる横向きの力に弱い傾向にあります。この特性は、特にインプラントにおいて顕著です。咬合チェック・調整とは、過度に力が加わっている歯がないか確認し調整するものです。歯ぎしりなどの癖が確認できる場合は、マウスピースを装着して歯にかかる力を軽減したり、ボトックス®注射で噛む力を緩めたりといった処置を行います。
また、セラミック歯は天然歯と違ってすり減ることがないため、歯ぎしり癖のある方は突出しやすくなり、大きな負担がかかりやすくなります。そのため、被せ物の素材を天然歯のように適度にすり減るゴールドへの変更をご提案することもあります。
レントゲン検査
レントゲン撮影により歯を支える顎の骨の状態をチェックします。インプラントと土台が離れていないか、ネジの緩みがないかなどもあわせて確認します。レントゲン検査実施の目安は年1回程度ですが、口腔内の状態によって適宜実施します。