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インプラント周囲炎治療なら多摩市永山の歯医者「福嶋歯科医院」|インプラント周囲炎の原因とは?なりやすい人の特徴を歯周病専門医が解説

インプラント周囲炎の原因とは?なりやすい人の特徴を歯周病専門医が解説

「インプラント周囲炎って、何が原因でなるの?」
「自分はなりやすいタイプなのだろうか」

インプラント治療を受けた方、これから受けようと考えている方の多くが気にされるのがこの点です。

結論からお伝えします。インプラント周囲炎の直接の原因は「細菌(プラーク)」です。そして、その細菌による炎症が起こりやすく・進みやすくなる条件(リスク因子)が、これまでの研究でかなりはっきり分かってきています。

この記事では、日本歯周病学会 歯周病専門医の立場から、インプラント周囲炎の原因と「なりやすい人の特徴」を、論文・ガイドラインのデータをもとに分かりやすく解説します。

インプラント周囲炎になる原因(細菌・喫煙・糖尿病・歯周病など)のイメージ図

目次

  1. インプラント周囲炎の直接の原因は「細菌」
  2. なりやすい人の特徴(体・生活習慣のリスク)
  3. インプラント・被せ物側の原因
  4. 「意外とリスクにならない」と分かっている因子
  5. 現在研究が進んでいる原因
  6. 原因が分かれば予防できる——セルフチェック
  7. よくある質問
  8. まとめ

1. インプラント周囲炎の直接の原因は「細菌」

プラーク(細菌のかたまり)が炎症を起こす

インプラント周囲炎は、インプラントの周りにたまったプラーク(歯垢)の中の細菌によって起こる炎症性の病気です。2017年の世界ワークショップ(米国歯周病学会・ヨーロッパ歯周病連盟の合同会議)でも、インプラント周囲炎は「プラークに関連した病的状態」と定義されています。

病気は次の2段階で進みます。

段階 状態
インプラント周囲粘膜炎 歯ぐき(粘膜)だけに炎症がある状態。骨はまだ溶けていない。適切なケアで元に戻せる
インプラント周囲炎 炎症が骨まで広がり、インプラントを支える骨が溶けていく状態。自然には治らない

つまり、粘膜炎の段階で見つけて止められるかどうかが、インプラントを長持ちさせる最大の分かれ道です。軽度の段階の治療については「軽度のインプラント周囲炎(インプラント周囲粘膜炎)の治療法」で詳しく解説しています。

なぜ天然の歯より進行しやすいのか

インプラントは天然の歯と比べて、細菌に対する「守り」が弱い構造をしています。

  • 歯根膜がない:天然の歯には骨との間に歯根膜というクッションがあり、豊富な血管が感染への防御を担っています。インプラントにはこれがありません。
  • 歯ぐきの線維の付き方が違う:天然の歯では歯ぐきの線維が歯の表面に垂直に食い込んで「封鎖」していますが、インプラントでは線維が表面に平行に走るだけで、細菌が奥へ入り込みやすくなります。
  • 表面がザラザラしている:骨とくっつきやすくするための粗い表面は、いったん露出すると細菌が付着しやすく、清掃が困難です。

このため、一度インプラント周囲炎になると、歯周病よりも速いスピードで骨が失われることがあります。膿が出るなどの症状がある方は「インプラント周囲炎から膿が出たら?」もあわせてご覧ください。

2. なりやすい人の特徴(体・生活習慣のリスク)

同じようにインプラントを入れても、インプラント周囲炎になる人とならない人がいます。その差を生むのが「リスク因子」です。

インプラント周囲炎のリスク因子を低・中・高リスクに分類した図(Dreyer 2018、Mombelli 2012より改変)

① 歯周病にかかったことがある・今かかっている

最も重要なリスクが歯周病です。歯周病の原因菌はインプラントの周りにも住みつきます。スウェーデンで約600人を9年間追跡した大規模調査(Derks 2016)でも、歯周病のある患者さんは中等度〜重度のインプラント周囲炎になりやすいことが示されました。2017年の世界ワークショップでも、歯周病の既往は「強いエビデンスのあるリスク因子」とされています。

だからこそ、インプラントの前に歯周病をしっかり治しておくことが欠かせません。

② 歯みがき・清掃が十分にできていない

プラークが原因である以上、清掃状態は直接のリスクです。インプラント周囲炎の患者さんを調べた研究(Serino & Ström 2009)では、歯間ブラシなどの清掃器具がきちんと届かない部位のインプラントに、周囲炎が集中していたことが報告されています。

③ 定期メインテナンスに通っていない

粘膜炎がある人を5年間追跡した研究(Costa 2012)では、インプラント周囲炎を発症した割合に大きな差が出ました。

5年間の過ごし方 周囲炎の発症率
定期メインテナンスあり 18.0%
定期メインテナンスなし 43.9%

メインテナンスを受けない人は、受けている人の約2.4倍の割合で発症していたことになります。メインテナンスの具体的な内容は「再発防止のメインテナンス方法」をご覧ください。

④ 喫煙

喫煙は歯ぐきの血流を悪くし、炎症に対する抵抗力と傷の治りを低下させます。57本の研究をまとめた系統的レビュー(Dreyer 2018)では、喫煙者のリスクは非喫煙者の約1.7倍と算出されています。

⑤ 糖尿病

血糖コントロールが不十分だと、感染に対する抵抗力が下がり、組織の修復も遅れます。同じレビュー(Dreyer 2018)では、糖尿病のある方のリスクは約2.5倍でした。インプラント治療を受ける際は、内科での血糖管理も大切です。

リスク因子 主なデータ
歯周病の既往・現在の歯周病 強いエビデンス(2017年世界ワークショップ)
清掃不良 強いエビデンス(同上)
メインテナンスなし 発症率 43.9% vs 18.0%(Costa 2012)
喫煙 約1.7倍(Dreyer 2018)
糖尿病 約2.5倍(Dreyer 2018)

3. インプラント・被せ物側の原因

インプラント周囲炎の原因は、患者さん側だけにあるわけではありません。治療の設計や処置の質が原因になるケースも少なくありません。

① 被せ物を接着するセメントの取り残し

被せ物をセメントで装着するタイプでは、歯ぐきの中にはみ出したセメントが残ると、そこに細菌が付着して炎症を起こします。内視鏡で調べた研究(Wilson 2009)では、インプラント周囲の炎症があった部位の81%で余剰セメントが見つかり、セメントを取り除いた部位の多く(33部位中25部位)で30日後に炎症が消えていました。

② 被せ物の形が清掃しにくい

被せ物が歯ぐきから立ち上がる角度(エマージェンスアングル)も重要です。ある研究(Katafuchi 2018)では、骨の高さに埋入するタイプのインプラントで、この角度が30度を超えると周囲炎の割合が15.1%→31.3%と約2倍になり、さらに膨らんだ形(凸型)と組み合わさると37.8%に達しました。見た目だけでなく「歯ブラシ・歯間ブラシが届く形」に設計することが予防の基本です。

③ 埋入位置・本数・骨と被せ物の距離

前述のスウェーデンの調査(Derks 2016)では、次のような条件で中等度〜重度の周囲炎が多いことが分かっています。

  • 1人あたりのインプラントが4本以上
  • 被せ物の縁が骨から1.5mm以内の近い位置にある
  • インプラントの製品(メーカー)による差

インプラントの位置や深さ、使う製品の選択は、治療を受ける時点で決まってしまいます。治療選びの考え方は「インプラント周囲炎予防のためのインプラント治療選び」で解説しています。

④ 硬い歯ぐき(角化粘膜)が少ない

インプラントの周りに「動かない硬い歯ぐき(角化粘膜)」が少ないと、歯みがきのときに痛みを感じやすく、プラークが残りやすくなります。22本の研究をまとめた系統的レビュー(Ramanauskaite 2022)では、角化粘膜の幅が2mm未満の場合、インプラント周囲炎の割合が高くなることが報告されています。

角化粘膜の必要性については研究者の間でも議論が続いていますが、明海大学の林丈一朗教授は、インプラント周囲の角化粘膜の幅が4mm以上、粘膜の厚さが3mm以上あると、術後の骨吸収と炎症のリスクを低減できるとしています(林 2021)。当院でも臨床経験上、角化粘膜がしっかりあるインプラントほど清掃しやすく、炎症を起こしにくいと実感しています。

そのため福嶋歯科医院では、

  • 角化粘膜が足りない場合は、遊離歯肉移植術(FGG)で硬い歯ぐきをつくる
  • 角化粘膜が十分にある場合は、2次手術で失わないよう根尖側移動術で守る

ことを基本方針としています。インプラントを「入れて終わり」にせず、長く清潔に保てる環境まで整えることが、当院のこだわりです。

当院の症例:角化粘膜を失わない2次手術

実際の症例をご紹介します。下の奥歯(左下)2本分にインプラント治療を行った70代女性の方です。

インプラントの2次手術(インプラントの頭を歯ぐきの外に出す処置)は、歯ぐきを丸くくり抜く「ティッシュパンチ」という方法が簡便ですが、この方法ではくり抜いた分、約4mmの角化粘膜が失われます。この方は2次手術時に8mmの角化粘膜があったため、それを失わないよう、歯ぐきを切り開いて外側へずらす根尖側移動術を選択しました。

インプラント2次手術時の状態。インプラント周囲に幅の広い角化粘膜(硬い歯ぐき)が確保されている

2次手術時。歯ぐきを切り開き、角化粘膜を残したままインプラントの頭を出します。

根尖側移動術で角化粘膜を外側へ移動し、ヒーリングアバットメントを装着して縫合した状態

角化粘膜を外側へ移動して縫合した状態。

2次手術から5週後のインプラント周囲の歯ぐき。厚みのある角化粘膜が保たれている

2次手術から5週後。歯ぐきのボリュームが増し、頬のすじ(小帯)の位置も改善しました。

ヨード染色でインプラント周囲の角化粘膜の範囲を確認した写真

ヨード染色。染まらない部分が角化粘膜です。インプラントの周りに十分な幅があることが分かります。

インプラント最終補綴装置装着後の口腔内写真(左下臼歯部2本)

最終的な被せ物を装着した状態。

インプラント最終補綴装置装着後のデンタルX線写真

装着後のX線写真。

症例の概要
患者さん 70代女性(主訴:左側が噛みづらい)
主な治療内容 抜歯、PRGFを用いた骨造成(GBR)、インプラント埋入2本(ZimVie TSX)・自家骨移植、2次手術(根尖側移動術)、被せ物の装着
治療期間 約9か月(抜歯・骨造成から被せ物の装着まで)
費用(自由診療) 合計1,529,000円(税込)
内訳:インプラント2本同時埋入(被せ物を含む)1,309,000円(税込)、骨造成(GBR・PRGFを含む)220,000円(税込)
※2次手術・根尖側移動術の追加費用はありません。角化粘膜が不足し遊離歯肉移植術(FGG)が必要な場合は別途費用がかかります。
※現行の料金表に基づく金額です。
主なリスク・副作用 手術後の腫れ・痛み・内出血、造成した骨の吸収、インプラントが骨と結合しない可能性、インプラント周囲炎の発症。治療後も定期的なメインテナンスが必要です。

4. 「意外とリスクにならない」と分かっている因子

一方で、心配されがちなのに、研究ではリスクとしての関係がはっきりしない因子もあります。

  • 年齢:高齢だからなりやすい、という関係は認められていません(Dreyer 2018)。
  • 性別:男女差についても、関係がないとする評価が中心です(同上)。
  • 骨粗鬆症:リスクとする十分な根拠は示されていません(同上)。

「年齢的にもうインプラントは無理かも」と考える必要はありません。大切なのは年齢よりも、歯周病の管理と日々の清掃、そして定期的なメインテナンスです。

5. 現在研究が進んでいる原因

チタンの微粒子

インプラント周囲炎の組織からは、チタンの微粒子が検出されることが報告されています(Fretwurst 2016)。この粒子が炎症を長引かせる一因になっている可能性が指摘されていますが、「原因」なのか「炎症の結果」なのかは、まだ結論が出ていません。当院でも院長が文献研究を続けているテーマです。

かみ合わせの力(過重負担)

強い噛みしめや歯ぎしりがインプラント周囲炎を起こすかについては、2017年の世界ワークショップで「現時点では根拠が限られる」と評価されています。ただし、被せ物の破損などにはつながるため、必要に応じてマウスピースなどで保護します。

6. 原因が分かれば予防できる——セルフチェック

ここまでの原因を、ご自身で確認できるチェックリストにまとめました。

チェック項目 該当したら
歯周病と言われたことがある 歯周病の管理を最優先に
たばこを吸っている 禁煙を検討
糖尿病・血糖値が高めと言われた 内科での血糖管理
インプラントの周りに歯間ブラシが通らない 清掃方法・被せ物の形を相談
1年以上歯科のメインテナンスを受けていない 早めに検診を
歯みがきで出血する・歯ぐきが腫れる 粘膜炎の可能性。早めに受診を

1つでも当てはまる方は、症状がなくても一度インプラント周囲の検査を受けることをおすすめします。予防のポイントは「インプラント周囲炎にならないために」と「インプラント周囲炎予防に大切なこと」でも解説しています。

当院での取り組み

福嶋歯科医院では、インプラント周囲炎の原因そのものに対処するため、次のような取り組みを行っています。

  • 日本歯周病学会 歯周病専門医による、歯周病とインプラント周囲の精密検査
  • 40歳以上の初診の方への歯周病菌検査
  • 角化粘膜の確保(不足部位には遊離歯肉移植術〈FGG〉、十分な部位は根尖側移動術で温存)
  • リスクに応じたメインテナンス間隔の設定(通常3か月ごと、リスクの高い方は1か月ごと)
  • 他院でインプラント治療を受けた方のセカンドオピニオン

7. よくある質問

Q. 毎日しっかり歯みがきしていれば、インプラント周囲炎にはなりませんか?

A. 歯みがきは最も重要な予防ですが、それだけでは十分ではありません。被せ物の形や歯ぐきの状態によっては、ご自身では清掃が届かない部分があります。また、歯周病の既往や喫煙などのリスクがある方は、きちんと清掃していても発症することがあります。歯科医院での定期的なチェックとクリーニングを組み合わせることが大切です。

Q. インプラントを入れてから何年くらいで起こりますか?

A. 数年以内に起こることもあれば、10年以上経ってから起こることもあります。年数が経つほど発症する人の割合は高くなる傾向があります。詳しくは「インプラント周囲炎の発症率・確率」をご覧ください。

Q. インプラント周囲炎になったら、もう治らないのでしょうか?

A. 早い段階であれば、炎症を抑えて進行を止められる可能性が十分にあります。進行した場合も、外科的な治療で改善を目指せるケースがあります。治療成績のデータは「インプラント周囲炎は治る?治らない?データから見える真実」、重度の場合の治療は「重度のインプラント周囲炎の治療法」で解説しています。

8. まとめ

  • インプラント周囲炎の直接の原因は細菌(プラーク)。インプラントは天然の歯より細菌への守りが弱い
  • なりやすい人の特徴は歯周病の既往、清掃不良、メインテナンスなし、喫煙、糖尿病
  • セメントの取り残し、清掃しにくい被せ物の形、角化粘膜の不足など、治療側の原因もある(当院では角化粘膜が不足すればFGGでつくり、十分にあれば根尖側移動術で守ります)
  • 年齢・性別・骨粗鬆症は、強いリスク因子とはされていない
  • 原因の多くは治療前の歯周病治療・適切な設計・定期メインテナンスでコントロールできる

インプラント周囲炎について詳しくは「インプラント周囲炎について」もご覧ください。ご自身のインプラントに不安がある方は、お気軽にご相談ください。

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