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インプラント周囲炎治療なら多摩市永山の歯医者「福嶋歯科医院」|インプラント周囲炎の発症率・確率

インプラント周囲炎の発症率・確率

「インプラント周囲炎って、どのくらいの人がなるの?」「自分はなりやすい?」——インプラント治療を受けた方、これから受ける方にとって、とても気になる疑問ではないでしょうか。

実は、インプラントを入れた患者さんの約5人に1人が、インプラント周囲炎を発症しているというのが、現在の世界標準のデータです。

「そんなに多いの?」と驚かれた方も多いかもしれません。

この記事では、発症率に関する学術データをもとに、なぜこれほど多くの方が発症するのか、そして自分がどのくらいのリスクにあるのかを、図表を使ってわかりやすく解説します。

1. 「自分には関係ない」は本当か——衝撃の発症率

世界標準のデータが示す「現実」

インプラント周囲炎の発症率について、現在世界で最も信頼されているデータは、スウェーデン・ヨーテボリ大学のDerksとTomasiによる系統的レビューです。

この研究は、それまでに発表されていた多数の疫学研究を統合・分析したもので、以下の結果が示されました。

■ インプラント周囲炎の発症率

さらに同じ研究で、インプラント周囲炎の「一歩手前」の段階であるインプラント周囲粘膜炎(骨への影響はないが歯茎に炎症がある状態)の発症率も調べられました。

■ インプラント周囲粘膜炎の発症率

つまり、インプラントを入れた方のうち、約2人に1人は何らかの周囲炎症(粘膜炎または周囲炎)を抱えているというのが現実です。

この結果は、別のグループによるメタアナリシス(Atieh MA, et al. J Periodontol. 2013)でもほぼ同様の数値が確認されています。

■ 複数の研究で確認された発症率の一覧

3つの独立した大規模研究が、いずれも16〜22%という近い数値を示しています。これは偶然ではなく、世界共通の傾向として捉えるべきデータです。


2. なぜ数字がバラバラなのか——診断基準の問題

「5%」という論文もあれば「47%」という論文もある理由

インプラント周囲炎の発症率を調べると、論文によって数字が大きく異なることに気づきます。

低いものでは5%、高いものでは47%——同じ「インプラント周囲炎の発症率」を調べているはずなのに、なぜこれほど違うのでしょうか。

その答えは「診断基準が統一されていなかった」ことにあります。

ノルウェーのKoldslandらは、この問題を直接検証するユニークな研究を行いました。

それは同じ患者集団を対象に、診断基準だけを変えて発症率を計算するという実験です。


■ 診断基準を変えると発症率はどう変わるか


同じ人たちを診ているのに、基準を変えるだけで発症率が11.3%〜47.1%と4倍以上の差が出ました。これが「論文によって数字がバラバラ」な理由です。

2017年以降は基準が統一された

この混乱を解消するために、2017年の世界歯周病・インプラント周囲疾患ワークショップ(AAP/EFP共同)で診断基準が統一されました(Berglundhら)。

■ 現在のインプラント周囲炎の統一診断基準

2017年以降に発表された研究では、この統一基準が使われるようになりました。今後は研究間の比較がしやすくなり、より正確な疫学データが蓄積されていくことが期待されています。

3. 年数が経つほど危険——時間と発症率の関係

「入れたばかりだから安心」は大きな誤解

インプラントを入れたばかりの方の中には、「最近入れたから問題ない」と思っている方もいるかもしれません。しかし、データはそれが誤解であることを示しています。

Derksらが行ったスウェーデンの大規模コホート研究では、術後の経過時間と発症率の関係が詳しく調べられました。

■ 術後経過年数と発症率の目安

Roos-Jansåkerの14〜16年にわたる長期追跡研究でも、観察期間が長くなるほど累積発症率が上昇し続けることが確認されています。

インプラントは「一度入れれば終わり」ではありません。年数が経てば経つほど、リスクは積み重なっていくという認識が必要です。

■ 定期メンテナンスの有無によるインプラント周囲炎発症の差

同じインプラントを入れた患者さんでも、メンテナンスを受けたかどうかだけで、発症率に約7倍の差が生まれます。

これが定期メンテナンスの重要性を端的に示すデータです。

4. 自分のインプラント周囲炎リスクを知る

発症率データは「平均」。自分のリスクは違う

インプラント周囲炎の発症率が「5人に1人」という数字は、あくまでも統計学的に見た平均値でしかありません。

リスク因子の有無によって、個人の発症率は大きく変わります。以下のデータをもとに、自分のリスクを確認してみてください。

■ 主なリスク因子と発症リスクの変化

■ リスク因子の「重なり」に注意

リスク因子は、複数重なると相乗的に高まります。

■ 喫煙によるインプラント周囲炎へのリスク

喫煙はインプラント周囲炎において、最もエビデンスが強いリスク因子の一つです。

タバコに含まれる成分が免疫の働きを抑え、歯茎の血流を悪化させることで、感染への抵抗力が大幅に低下します。

■ 歯周病既往の影響

歯周病を引き起こす細菌とインプラント周囲炎を引き起こす細菌は、種類が大きく重なります。

歯周病を経験した口腔内には、すでにこれらの細菌が多く定着しており、インプラント周囲に移行・定着しやすい環境が整っています。

■ インプラント周囲炎のリスクチェック

以下の項目に当てはまるものを数えてみてください。

0個:平均的なリスク。定期メンテナンスを継続してください。

1〜2個:リスクあり。3〜4ヶ月に1回のメンテナンスを推奨します。

3個以上:高リスク群。今すぐ歯科に相談することをお勧めします。

5. まとめ——あなたのインプラントは今、安全ですか?

インプラント周囲炎の発症率についてお伝えしてきた内容を、最後に整理します。


「5人に1人」という数字をどう受け止めるか

「5人に1人がなるなら、自分もなるかもしれない」——その通りです。

ただし、これは「なってしまったら仕方がない」という意味ではありません。

コスタらのデータが示したように、定期メンテナンスを継続した人の発症率は約6%でした。

言い換えれば、きちんとメンテナンスに通っている方の発症リスクは平均の4分の1以下に抑えられています。

発症率は「運命」ではなく「確率」です。

リスク因子を減らし、定期的に専門家の目でチェックしてもらうことで、その確率を大きく下げることができます。

インプラントを長く守るために、今日からできること

「まだ症状はないから大丈夫」ではなく、「今のうちにリスクを管理する」

その意識の違いが、5年後・10年後のインプラントの状態を大きく左右します。

少しでも不安がある方は、まず歯科への予約を入れることから始めてください。

参考文献

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