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インプラント周囲炎治療なら多摩市永山の歯医者「福嶋歯科医院」|【症例】30代・埋入3年で起きたインプラント周囲炎|外科治療で膿は止まったが、ポケットは残った

【症例】30代・埋入3年で起きたインプラント周囲炎|外科治療で膿は止まったが、ポケットは残った

インプラント周囲炎は、ご年配の方だけの病気ではありません。今回ご紹介するのは、30代の男性で、インプラントを入れてからわずか3年でインプラント周囲炎になった症例です。 外科治療で膿は止まり、炎症は落ち着きました。一方で、深いポケットは残りました。うまくいった点も、限界も、ありのままにお伝えします。インプラント周囲炎の治療で何ができて何が難しいのかを知っていただくためです。

目次

  1. 患者さんの状態
  2. 検査結果
  3. 治療の内容
  4. 治療後の経過(1か月・3か月)
  5. 結果の評価:何が改善し、何が残ったか
  6. 症例の概要(費用・期間・リスク)
  7. この症例から分かること

1. 患者さんの状態

年齢・性別 30代 男性
部位 左上の第一大臼歯・第二大臼歯(2本のインプラントをつないだ被せ物)
経緯 約3年前にほかの歯科医院で埋入されたインプラント
自覚症状 インプラントの周りの歯ぐきが「むずむずする」感じ

2. 検査結果

  • インプラント周囲のポケットの深さ:8mm
  • 出血:あり 排膿:あり
  • 骨の吸収:インプラントの長さの約3分の2

痛みはなく、「むずむずする」程度の違和感でしたが、検査をすると骨の吸収はかなり進んでいました。インプラント周囲炎は、自覚症状と実際の進行度が一致しないことが多い病気です。

3. 治療の内容

被せ物を外して、直接確認できる状態に

被せ物はセメントで固定するタイプでしたが、仮着用のセメントで留められていたため、外して治療を行うことができました。 被せ物を外したインプラント2本。アバットメントの周りの歯ぐきに発赤と出血がある

被せ物を外した状態。アバットメントの周りの歯ぐきが赤く腫れ、出血しています。

インプラント周囲炎を起こしたアバットメントを横から見た状態

横から見た状態。

外科治療(約90分・1回)

歯ぐきを開いて、インプラント周囲の状態を直接見ながら次の処置を行いました。 歯ぐきを開くとインプラントのねじ山が露出し、周囲の骨が失われている

歯ぐきを開いた状態。インプラントのねじ山が露出し、周りの骨が失われています。

  1. 掻爬(そうは):骨の欠損部にたまった炎症性の組織を取り除きます。
  2. 除染:チタン製のブラシで、インプラント表面の細菌の膜(バイオフィルム)をこすり落とします。
  3. インプラントプラスティ:骨が失われて露出した部分のねじ山を削って滑らかにし、汚れが付きにくい表面にします。
  4. 再生療法:ご自身の血液からつくるPRGF(成長因子を多く含む血漿)を用いて、骨の再生を図りました。

※当院のPRGFは、再生医療等の安全性の確保等に関する法律に基づき、再生医療等提供計画を提出したうえで実施しています(第三種、計画番号:PC3210013)。 削る処置(インプラントプラスティ)では、チタンの微粒子が出ることが知られています。そのため削る範囲は、骨が失われて露出している部分に限りました。

被せ物は「外せる状態」で戻す

術後、歯ぐきが落ち着いてから被せ物を戻しました。その際はインプラント用の仮着材を使い、必要なときにいつでも外して、清掃や確認ができるようにしています。

4. 治療後の経過(1か月・3か月)

1か月後

インプラント周囲炎の外科治療から1か月後。歯ぐきの発赤が引いている

1か月後。歯ぐきの赤みが引き、落ち着いてきています。

インプラント周囲炎の外科治療から1か月後を横から見た状態。歯ぐきは下がっている

横から見た状態。炎症は治まった一方で、歯ぐきは下がりました。

3か月後

インプラント周囲炎の外科治療から3か月後、被せ物を戻した状態

3か月後。被せ物を戻した状態です。

インプラント周囲炎の外科治療から3か月後を咬む面から見た状態

咬む面から見た状態。

インプラント周囲炎の外科治療から3か月後、かみ合わせた状態を横から見た写真

かみ合わせた状態。

5. 結果の評価:何が改善し、何が残ったか

項目 治療前 3か月後
排膿 あり なし
ポケットの深さ 8mm 変化なし

膿が止まったのは、インプラント周囲の活発な感染が抑えられたことを示します。一方、ポケットの深さは変わりませんでした。 ヨーロッパ歯周病連盟のガイドライン(Herrera 2023)では、インプラント周囲炎の治療のゴールを「ポケット5mm以下、出血は1か所まで、排膿なし、骨吸収の進行なし」としています。この基準で見ると、この症例は炎症は治まったものの、まだゴールには届いていない状態です。 実際、インプラント周囲炎の外科治療で炎症が完全に消える割合は、5年後で約4割と報告されています(Heitz-Mayfield 2018)。インプラント周囲炎は「治す」より「管理し続ける」病気と言えます。そのためこの方には、治療後3か月は毎月、現在は3か月ごとにメインテナンスに通っていただき、再び悪化しないよう管理を続けています。 治療成績のデータは「インプラント周囲炎は治る?治らない?」でも詳しく解説しています。

6. 症例の概要(費用・期間・リスク)

症例の概要
患者さん 30代男性(自覚症状:歯ぐきのむずむず感)
主な治療内容 被せ物の取り外し、インプラント周囲炎の外科治療(掻爬、チタンブラシによる除染、インプラントプラスティ、PRGFを用いた再生療法)、被せ物の再装着
治療期間 外科治療は1回(約90分)。術後1〜2週間で確認、その後3か月間は毎月通院。現在は3か月ごとのメインテナンス
費用(自由診療) インプラント周囲炎治療:253,000円(税込) ※メインテナンスの費用は別途かかります。
主なリスク・副作用 手術後の腫れ・痛み・出血、歯ぐきが下がって被せ物の金属部分が見えることがある、ポケットが残る・再発する可能性、最終的にインプラントの撤去が必要になる場合があります。

7. この症例から分かること

  • インプラント周囲炎は30代でも、埋入から数年でも起こることがある
  • 骨がまだ残っている段階なら、外科治療で炎症を抑えてインプラントを残せる可能性がある
  • ただし、治療で完全に元に戻るとは限らない。だからこそ予防と、定期的な検査による早期発見が大切

骨がほぼすべて失われ、抜去を選んだ症例は「【症例】自覚症状のないまま進行したインプラント周囲炎」で紹介しています。この2つの症例を比べると、早く見つけることの大切さがよく分かります。 インプラント周囲炎の原因と予防は「インプラント周囲炎の原因とは?」、重度の場合の治療法は「重度のインプラント周囲炎の治療法」をご覧ください。ほかの医院で入れたインプラントが気になる方は、セカンドオピニオンもお気軽にご相談ください。

参考文献

  1. Herrera D, Berglundh T, Schwarz F, et al. Prevention and treatment of peri-implant diseases—The EFP S3 level clinical practice guideline. J Clin Periodontol. 2023;50 Suppl 26:4-76.
  2. Heitz-Mayfield LJA, Salvi GE, Mombelli A, et al. Supportive peri-implant therapy following anti-infective surgical peri-implantitis treatment: 5-year survival and success. Clin Oral Implants Res. 2018;29(1):1-6.
  3. Barrak FN, Li S, Muntane AM, Jones JR. Particle release from implantoplasty of dental implants and impact on cells. Int J Implant Dent. 2020;6(1):50.