インプラント周囲炎
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インプラントの歯ぐきが腫れた・痛いときに考えられる原因と受診の目安|歯周病専門医が解説
インプラントの周りの歯ぐきが、なんだか腫れている。歯みがきで血が出る。噛むとちょっと痛い。
インプラントは虫歯にならないはずなのに…と、不安になりますよね。
先に結論
いちばん多い原因は、インプラントの周りの細菌の感染(インプラント周囲炎など)です。
ただ、治療ですぐ取り除ける原因のこともあります。
自分では見分けられないので、腫れや出血が数日続いたら検査を受けてください。
この記事で分かること
✓ すぐ受診したほうがいいサイン
✓ 腫れ・痛みの原因 6つ
✓ 「痛くないから大丈夫」が危ない理由
✓ 受診までにやっていいこと・ダメなこと
1. まずチェック。すぐ連絡したほうがいい?
当てはまるものを数えてみてください。
⚠ ひとつでもあれば、早めに連絡を
□ 膿が出る・口の中に嫌な味がする
□ 頬や顔まで腫れてきた・熱がある
□ インプラントや被せ物がぐらぐらする
□ 噛むと強く痛む・痛みが増している
1〜2週間以内に検査を
□ 歯みがきで血が出る
□ 歯ぐきが赤い・少し腫れている
□ 食べ物が挟まりやすくなった
□ 歯ぐきが下がって金属が見えてきた
2. 腫れる原因は6つ。いちばん多いのは?
インプラントは、骨の中の本体・土台・被せ物の3つでできています。どこでトラブルが起きているかで、治し方が変わります。
ゆるみ・残ったセメント・食べ物が挟まる
ゆるみ・破損
細菌の感染(周囲粘膜炎)
骨が溶ける(インプラント周囲炎)
インプラントの断面のイメージ。下に行くほど深刻です
❶細菌の感染(いちばん多い)
歯ぐきだけの炎症が周囲粘膜炎、骨まで溶けると周囲炎。インプラントを入れた方の約2人に1人に粘膜炎、約5人に1人に周囲炎がみられます。
❷歯ぐきの中に残ったセメント
被せ物を付けるときのセメントが残ると、細菌のすみかに。炎症のある部位の81%で見つかったという報告もあります。取り除けば落ち着くことがあります。
❸ネジのゆるみ・部品の破損
すき間に汚れがたまったり、噛むと痛んだりします。締め直しや交換で治ることが多い原因です。
❹食べ物が挟まる・磨きにくい形
被せ物の形やすき間によっては、汚れがたまりやすくなります。
❺硬い歯ぐきが少ない
動かない硬い歯ぐき(角化粘膜)が少ないと、ブラシが当たると痛くて磨けず、汚れがたまります。
❻手術や処置のすぐあと
数日〜1週間の腫れはよくあること。日ごとに軽くなるなら様子をみて、強くなるなら手術をした医院へ。
3. 痛くないのに、なぜ危ないの?
インプラント周囲炎は、痛みがほとんどないまま骨が溶けていくことが多い病気です。
実際に当院でも、本人は何も気づいていないのに、検査をしたらインプラントの先近くまで骨がなくなっていた方がいました(この症例を見る)。
骨が溶けているかは、検査とレントゲンでしか分かりません。
腫れや出血は、痛くなくても「検査を受けるサイン」です。
4. 受診までの過ごし方
◯ やってほしいこと
・やわらかめのブラシで、やさしく磨く
・インプラントカードを探しておく
・痛みが引いても受診する
✕ やめてほしいこと
・膿を指で押し出す
・その側で硬いものを噛む
・痛み止めだけで様子をみる
5. 当院ではどう診るの?
インプラントからの腫れ・痛み・膿は、まず院長相談から始めます。
STEP 1 院長相談(60分)
パノラマ・CTを撮って、原因と治療の選択肢をご説明。その場で決めなくて大丈夫です。
STEP 2 詳しい検査
後日、歯科衛生士がポケットの深さや出血を調べます。
STEP 3 原因に合わせた治療
セメント除去・ネジの締め直し/清掃/外科治療/撤去など。
もっと詳しく知りたい方へ:
→ インプラント周囲炎は治る?治らない?
→ 膿が出ているとき
→ 治療費はいくら?
6. よくある質問
Q. 腫れが引いたら、行かなくていい?
A. 原因が残っていれば、また腫れます。腫れが落ち着いても骨が溶け続けることがあるので、一度は検査を。
Q. 入れて10年以上たっていても起きる?
A. 起きます。使う年数が長いほど起きる人の割合は高くなる傾向です。
Q. ほかの医院で入れたインプラントでも診てもらえる?
A. はい。院長相談で検査とご説明をします。インプラントカードがあればお持ちください。
Q. 遠方なので、治療後も通えるか心配です。
A. 治療は当院で。その後の定期的なメインテナンスは、ご自宅近くの歯科医院で続けるのが現実的です。もちろん当院に通っていただくこともできます。
まとめ
・いちばん多い原因は細菌の感染。でも、すぐ治せる原因のこともある
・痛くなくても、腫れ・出血は検査のサイン
・膿・顔の腫れ・ぐらぐらは、早めに連絡を
当院での費用とご相談
ほかの医院で入れたインプラントのご相談も承っています。日本歯周病学会 歯周病専門医の院長が、パノラマ・CTを撮影したうえで「残せるのか、撤去が必要か、費用はいくらか」をご説明します。その場で治療を決めていただく必要はありません。
(税込44,000円)
(税込253,000円)
(税込121,000円)
(税込297,000円)
いずれも自由診療です。外科治療・撤去には、術後の腫れ・痛み、歯ぐきが下がる、骨が期待どおりに回復しない、周囲炎が再発するなどのリスクがあります。治療期間・回数は状態により異なり、相談時にご説明します。
費用の全体像(保険と自費の境目、撤去してやり直す場合の総額など)は「インプラント周囲炎の治療費はいくら?」にまとめています。
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執筆・監修:福嶋歯科医院 院長 福嶋太郎(日本歯周病学会 歯周病専門医)
東京都多摩市で、歯周病とインプラント周囲炎の治療に取り組んでいます。インプラントの撤去・周囲炎の外科治療・再生療法まで院内で行い、ほかの医院で入れたインプラントのご相談も承っています。所属:日本歯周病学会、日本口腔インプラント学会、AAP(アメリカ歯周病学会)、AO(Academy of Osseointegration)
参考文献
- Wilson TG Jr. The positive relationship between excess cement and peri-implant disease: a prospective clinical endoscopic study. J Periodontol. 2009;80(9):1388-1392.
- Lin GH, Chan HL, Wang HL. The significance of keratinized mucosa on implant health: a systematic review. J Periodontol. 2013;84(12):1755-1767.
- Derks J, Tomasi C. Peri-implant health and disease. A systematic review of current epidemiology. J Clin Periodontol. 2015;42 Suppl 16:S158-S171.
- Herrera D, Berglundh T, Schwarz F, et al. Prevention and treatment of peri-implant diseases—The EFP S3 level clinical practice guideline. J Clin Periodontol. 2023;50 Suppl 26:4-76.
